【障がい者雇用】法定雇用率を完全解説!

企業の障がい者雇用

【法定雇用率】という言葉は聞いたことがあるでしょうか。

企業が障がいのある方を雇用する人数を決めるときはこの「法定雇用率」を基準に考えます。

これを知らない企業は、毎月5万円以上損をすることになるかもしれません。

そうならないように企業の担当者は「いったいどのように計算をするのか」「どんな条件で適応されるのか」理解しておく必要があります。

また障がいをお持ちの方も知っておくことで、企業がどんな決まり中で雇用をしているのか分かるようになり、就職活動のヒントになるかもしれません。

この記事の概要
  • 企業は従業員の一定割合、障がいのある方を雇用する義務がある
  • 民間企業の雇用率は2.3%
  • 毎年6月1日にハローワークに雇用率を報告することになる
  • 法定雇用率を満たせない場合は納付金、指導、会社名の公表をされることになる

 



障がい者雇用

障がい者雇用について概要をまとめていきます。
本題は次の項目からになりますので、本題のみ知りたい方はそちらへ

障がい者雇用とは

企業や自治体などが通常の雇用とは別に障がいのある方にも雇用する機会を作る制度を言います。

障がい雇用をする事のメリットは、戦力としての補充助成金の活用が出来るようになること、また近年では公共事業を委託公募でも障がい者雇用が条件に組み込まれていることがあります。

近年では、障がいをお持ちの方を雇用している企業が社内の中枢システムの大部分を
発達障がいの方々が担っているなど、即戦力になる方々も出てきており注目されています。

ただし、障がい者雇用の注意点や企業がするべきことなどもあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。↓↓

法定雇用率について

ここからが本題になります。

法定雇用率は「障害者雇用促進法」という法律に基づき定められています。

この法律は障がいのある方が安定して雇用(仕事)が出来る環境を整えていく事を目的に制定されており、条文にはこう書かれています。

障害者雇用促進法 第三十七条

・全て事業主は、対象障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、適当な雇用の場を与える共同の責務を有するものであって、進んで対象障害者の雇入れに努めなければならない。

つまりすべての企業では障がいのある方を雇用する責任があるとされています。

そのため、企業は障がい者雇用をする必要があるのですが、少人数の企業では障がいのある方の受け入れが難しいため、雇用の義務は従業員の人数によって決められています。

要するに、全従業員に対し、障がい者を一定の割合以上の雇用しなくてはならないということです。

この割合が法定雇用率と呼ばれるものになります。

それでは法定雇用率の条件を見ていきましょう。

法定雇用率の条件

今回は架空の会社を設定して法定雇用率を見ていきましょう。

企業設定

株式会社こまる商事

従業員数:正社員130名 パート社員30名 

条件1 障がい者の雇用する義務の有無

障がい者雇用をする義務がある企業の条件は全従業員の数が43.5人以上雇用していることです。

つまり従業員数が43.5人以下の企業は障がい者雇用する義務はありません

しかしこの人数に関しては、今後引き下げる可能性もあるため、従業員数が40名に近い企業は
障がい者雇用の事を考えていきましょう。

従業員のカウントについて

43.5名のカウントの仕方は下記の通りです。

雇用人数カウント方法

常用雇用労働(週30時間以上の方)=1カウント

短時間労働者(週20時間以上30時間以上の方)=0.5カウント

週20時間未満の労働者=0カウント

そのため従業員数は43.5名を超えていても短時間労働の方が多ければ該当しないこともあります。

条件2 障がい者を雇用する割合

障がい者雇用する必要の有無を確認が出来たら、何名雇用するか考えていきます。
法定雇用率(障がい者の割合)は民間と自治体などで変わってきます。

事業区分による法定雇用率
  • 民間企業:2.3%
  • 国や地方公共団体:2.6%
  • 都道府県、教育委員会など:2.5%
    (2022年5月現在)

このブログを読まれている方は民間企業がほとんどだと思うので2.3%で計算していきます。

条件3 障がい者雇用の必要人数の計算

雇用人数の計算式は下記の通りです。

雇用人数の計算式

(常用雇用労働者+短時間労働者×0.5)×法定雇用率(2.3%)

それでは株式会社こまる商事を例に計算をすると

(130名【正社員】+30名【パート】×0.5)×2.3%=3.33名雇用する必要があります。

また少数点は切り捨てになるので、3名雇用すれば法定雇用率を満たせることになります。

条件4 いつまでに雇用する必要があるのか

6/1までに雇用が出来ると良いでしょう。
6/1の根拠は【通称ロクイチ報告】があるためです。

事業主は毎年6/1にハローワークに雇用人数の報告をする必要があります。
これをロクイチ報告と呼んでいます。

ハローワークはこのロクイチ報告を見て、雇用率が達成できているかを確認しているのです。

では法定雇用率に満たない企業は一体どうなるのでしょうか。

法定雇用率未達成の場合

法定雇用率に満たない企業は3つのデメリットが出てきます。

未達成のデメリット
  • 納付金の義務
  • 改善指導
  • 企業名公表

以上の処分となります。

納付金の義務

国に納付金を支払う義務が発生します。

飛んで行くお金のイラスト(円)

徴収額不足人数1名につき毎月5万円です。
仮に10名不足している企業であれば毎月50万徴収されていることになります。

企業担当者の中には「罰則金」と捉えてる方がいらっしゃいますが、

徴収された納付金は雇用率を達成している企業に対して、助成金などの財源として徴収しているため納付金という呼び方になっています。

最初は少ない額ですが、人数が多くなると痛手です。

改善指導

ハローワークより「障害者雇入れに関する計画書」の提出が求められ、指導が入ることになります。

行政指導のイラスト(男性)

それでも改善が出来ていない場合は、厚生労働省などから直接指導が入ることもあります。

企業名公表

それでも改善が無い場合は厚生労働省のホームページにて企業名の公表をされます。
社会的信頼を失うこともあり得ます。

これらは段階的に行われるため、すぐに指導や公表されるわけではありませんが
あまりに消極的であったり、改善が見られない場合は公表までされることになります。

ちなみに
令和5年現在では6社の会社が企業名を公表されています。

障害者雇用の実状

この法律に対して令和3年度の集計では、法的雇用率を達成している企業は全体の47%ほどです。

つまり雇用義務のある企業の半分以上はまだ出来ていないのが現状です。

昨年の後半からはウィズコロナという言葉が出てくるようになり、少しずつ求人が増えてきている印象がありました。今年のロクイチ報告では上がっている事を祈るばかりです。

まとめ

この記事のまとめ
  • 43.5名以上雇用している企業は、障がいのある方を雇用する義務がある
  • 民間企業の雇用率は2.3%
  • ロクイチ報告までに満たしておく必要がある。
  • 法定雇用率を満たせない場合は納付金、指導、会社名の公表をされることになる

今回は法定雇用率の解説を行いました。

納付金を罰則金と捉えている企業が多く、罰則金を払えばいいと考えている企業やロクイチ報告のためだけに雇用する企業など、あまり障がい者雇用に積極的でない企業も多く見てきました。

障がい者雇用を

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