障がい者枠の就職活動を進める際の最大の特徴は見学や体験を行うことにあります。
しかし障がい雇用に慣れていない企業においては「何を目的に見学や体験をするのか」また「どんなことをしたら良いのか」分からないことも多いと思います。
今回は障がい者雇用における見学や体験の目的やポイントをお伝えしていきます。
障がい者雇用に関しての詳細はこちらをご覧ください。↓
それでは行きましょう!
障がい者雇用の見学や体験
障がい者雇用を進めるときに選考前に職場の見学や就労の可能性のある業務を一定期間体験するといったことをします。
見学は30分から1時間程度で就業の可能性がある作業の見学、体験は1日〜3ヵ月未満で実際の作業を体験してもらうことができます。
体験中は賃金を払う必要があるのか
体験中は交通費を含め賃金は発生しません。学生のインターンをイメージするとわかりやすかもしれません。体験の期間も本人との希望とすり合わせて検討することになります。
見学や体験は必ず必要なのか
見学、体験は必須ではなく、両者の任意での実施となります、個人情報や企業機密に関わる業務の場合はお断りしても問題ありません。
しかし応募者側に就職をサポートするような機関がついている場合必ず依頼があると考えてよいでしょう。
また応募者は対応を見て応募を検討していますので丁寧に対応することでより多くの応募者が来る可能性があります。
見学や体験の目的
見学や体験の目的は応募者を知る機会を増やすことにあります。
現在障がい者雇用を目指している方のほとんどは精神障がいや知的障がいの方になります。
下記のグラフは令和3年度の就職者の障がい種別の割合を出したものです。
精神障がい、知的障がいの方々が約7割を占めており、企業としても2つの障がいに合わせた選考方法を選ぶ必要があります。
この二つの障がいの特徴として、障がいについて配慮する点が見えづらいということが挙げられます。
そのため障がいを知る機会を増やすことで「どんな症状があるのか」また「どんな配慮が必要なのか」を実際に見てることが重要であり、ミスマッチの可能性を減らすことに繋がるのです。
精神障がいについて詳しく知りたい方はこちらから↓
次に見学や体験を行うことでのメリットデメリットをご説明します。
見学や体験をすることのメリット
メリットは大きく分けて3つです。
ミスマッチを防ぐことに繋がる
障がいの中には物事をイメージすることが苦手な方がいます。こうした方は求人票の業務内容や口頭での説明よりも視覚的な情報で感じるほうがイメージが付きやすくなります。
そのため実際に見て、体験をすることで応募者のイメージとのすり合わせをする事が出来るためミスマッチを防ぐことができます。
応募者スキルを正確に判断が出来る
働いてもらうことで応募者の本当のスキルを見ることが出来ます。
上記の例は実際にあった事例をもとにしています。
本人の自己評価と実際のスキルや体力に差があることがあり、事例の方がこのまま入社してしまっていたら3日で退職になっていた可能性がありますが、体験をしたことで防ぐことが出来ています。
逆にとてもスキルのある方は就職前に業務を身に付けて、就職後に即戦力として働いてもらうことも可能です。
応募者の普段の様子を見ることが出来る
休憩中の過ごし方や日常的なコミュニケーションを見ることでその方をより知ることが出来ます。
またコミュニケーション不足は障がい者雇用の退職理由の中でもかなり大きな割合を占めています。
そのため業務的会話や雑談や休憩の過ごし方を含めたコミュニケーション方法で事前に対処方法を知ることで定着率が上がることに繋がります。
デメリット
時間と手間が掛かる
見学は30分程度ですが、実習は最低でも1日と長時間対応する必要があります。
また指導者の人手や体制を整える準備、さらには作業によっては業務に使う物品の準備が必要になります。
さらに希望者が一人であれば大きな手間にはなりませんが、体験の希望者が複数名いる場合はさらに準備が必要になり、日程調整を含め手間が掛かることになります。
怪我など可能性がある
作業や通勤等に怪我などのリスクがあります。
万が一怪我などの事故があった場合、支援機関が付いている場合であれば、保険に加入しているため補償に関しては問題ですが、その対応に取られる手間がかかることも事実です。
ここまで企業目線でのメリットやデメリットについてお伝えしてきましたが、応募者と企業にとってはwin-winの制度なので積極的に活用することを強くおすすめします。
次に実際に見学や体験ではどんなことをするのかまとめていきます。
選考の流れ
一般的な選考と見学や体験があるときの流れ違いは下記のとおりになります。
体験では本人の様子がよく見れるため、体験終了時は企業の意向が固まっていることが多く
面接では、体験での振り返りを交えながら、入社日の確認などをする企業も多いです。
もちろん体験後、面接で不採用にするケースもあります。
それでは見学、体験のそれぞれの流れについてお伝えしていきます。
見学の流れ
見学は仕事内容や職場の雰囲気を応募者に見てもらい、仕事が出来るかイメージしてもらうことが重要です。
流れは下記の通りです。
見学時のポイント
見学は応募者と最初に会うタイミングなので応募者の面接とは違った第一印象が見れます。
面接よりはラフに本人と会話が出来るため、本人の様子や質問内容から本人の理解度などを知ることも出来るのです。
見学時の注意点
見学時は就業の可能性がある部署を中心に見学をする。
募集をしている職種や部署以外を見学すると、見学者は結局どこで働く可能性があるのか分からなくなることがあります。
そのため就業の可能性がある部分のみを案内するかそれ以外の場所は簡単に済ませましょう。
共有スペースや休憩スペースも案内する
入社後に不安を感じる方もいるため共有スペースも案内をする必要があります。
特に休憩スペースに関しては休憩中の過ごし方を気にする方も多いので忘れずに案内しましょう。
余計な個人情報は受け取らない。
見学では応募を決めておらず、見学をして雰囲気を見て決めたいと考えている方がほとんどです。
この段階で個人情報を受け取ってしまうことで個人情報の管理が大変なので書類等は受け取らないようにしましょう。
体験の流れ
体験は見学でのイメージを実際に働くことですり合わせをする作業です。
体験時のポイント
体験では本人の働いている様子見て本人ができる作業を探していきます。
募集を掛けている職種で仕事を続けることが出来るのかを体験の機関を使って確認をしましょう。
体験時の注意点
本人への配慮事項等を事前に確認する
体験では実際に職場に入ってもらうため、本人や支援機関や紹介事業所に事前に配慮事項や障がいについて確認をしておく必要があります。
この段階では通勤の練習も兼ねているため個人情報等も含めて確認して問題はありません。
期間は短いと意味がなく長いと助成金が使えなくなるため注意
体験は作業が出来ることだけでなく、通勤も含めた決められた日数通うことも体験しているので短いとあまり意味がありません。
反対に3ヵ月を過ぎてしまうとトライアル助成金を使用出来なくなる可能性もあり、さらに応募側には賃金が出ないため、負担も大きくなってしまいます。
期間は短くても3日〜1週間、長くても1ヵ月程度を目安にすると良いでしょう。
万が一のため緊急連絡先を確認しておく
勤務中や通勤時の予期せぬ事故や予定時間に出勤していないときに備え、事前に保護者や支援者等の緊急連絡先を事前に確認しておくようにしましょう。
まとめ
今回は会社の見学や体験についての対応の仕方についてまとめました。
支援者目線でも選考をする上で相手の本気度や適性を知るためには、見学や体験以上に良い方法はないと感じています。
そのため出来るだけ多くの企業がこうした選考方法を検討してもらうことで即戦力の確保に繋がっていきます。
障がい者雇用アドバイザーとしてこうした障がい者雇用のお悩みについてのサポートを受け付けています。
興味のある方はお問合せよりご連絡下さい。
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