【障害者雇用】企業の本音と雇用メリットに変える6つのポイント

企業の障がい者雇用

令和6年に法定雇用率が引き上げや障害者雇用として認められる時間が変わってくるなど、大きな変更が出てきます。

一方で、令和4年度法定雇用率を満たせていない企業は、全国で55,684社。そのうち1名も雇用ができていない企業は60%程度と、障害者雇用への理解がなかなか進んでいない現状です。

今回は障害者の雇用を進められない企業とうまくいっている企業、両方の本音をまとめた上で、雇用をメリットに変える方法を見ていきましょう。

この記事の概要
  • 障害者雇用の最大のメリットは、人材の確保
  • 雇用している企業とうまくいっていない企業は共通している問題がある
  • 雇用をメリットに変えるには、障害を理解することが重要
  • 雇用をメリットに変えるには6つのポイントがある



障害者雇用は働きやすい環境を作ること

障害者雇用で企業に求められていることは、ただ障害者雇用するだけではありません。

職場定着をセットで考えることまで求められています。そのため重要になってくるのが「働きやすい環境を作ること」なのです。

こうした点を概要と合わせて解説をしていきましょう。

障害者雇用=障害者雇用促進法

障害者手帳をお持ちの方を対象として雇用をすることを「障害者雇用」と呼びます。

これは「障害者雇用促進法」という法律で定められている制度です。

第三十四条

事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。

この法律では、「法定雇用率」と呼ばれる採用人数の基準も定めれらています。

民間企業の法定雇用率は2.3%(令和5年度現在)

法定雇用率」とは、会社全体の雇用人数に対して障害者を雇用する割合を指すものです。

現在は下記のように定められています。

法定雇用率
  • 民間企業で2.3%
  • 国や地方公共団体は2.6%
  • 都道府県や教育委員会で2.5%

これは従業員数が43.5名いる会社から適応になります。さらに従業数が100名を超えている企業が雇用率を満たせない場合は「納付金」が発生することになります。

これらは令和6年度に改訂されることが決まっています。

法定雇用率の計算方法や納付金の詳細についてはこちらで紹介しています。

求職者が障害者雇用で求職活動するメリットが「合理的配慮」です。そのため企業は「配慮」をしなくてはなりません。

合理的配慮は努力義務

「合理的配慮」とは、本人から申し出があった場合、障害に対しての配慮を行うことで働きやすい環境を作ることを言います。

民間企業では努力義務とされていますが、こちらも令和6年度から義務化になります。

この合理的配慮についても「障害者雇用促進法」に定められています。

第三十六の二

事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となつている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。

こちらにも記載がありますが、企業側に負担が大きいものは必ず受け入れる必要はなく、交渉する余地があります。

合理的配慮の取り扱いは曖昧な規定であるため、対応方法が難しいです。企業担当者向けに合理的配慮をまとめてありますので参考にしてみてください。

では次に障害者雇用を行うことでのメリットを見ていきましょう。

障害者雇用のメリットは人材の確保

企業の本音を見ていく前に企業が、障害者雇用をするメリットを確認していきましょう。

大きくは4つです。

雇用するためのメリット
  • 人材の確保ができる
  • 業務の効率化を図ることができる
  • 助成金を受給できる
  • 社会的責任を果たすことができる

人材の確保ができる

配慮や周囲のサポートがあれば、戦力になる人材も非常に多いです。

実際大手スーパーでは、ITシステムを開発、管理しているのが発達障害の方であり、仮に退職されると変わりがいないと言われるほどのスキルを持った方もいます。

障害があっても、戦力になる貴重な人材はいます。戦力を逃さないことは企業にとっては最大のメリットになります。

業務の効率化を図ることができる

障害の方を雇用するにあたり障害の方が仕事出来るよう、業務の切り出しや内容を検討する必要があります。

その中で全体の業務の見直しや改善を行う中で、業務の効率化を図ることができます。

助成金を受給できる

障害者雇用では、雇用促進のための助成金制度がいくつか存在し、条件を満たすことで受給可能になります。

こうした助成金を活用することで、雇用後の企業のコストを削減することや雇用に対してのハードルを下げることができます。

助成金の種類等より詳しい解説については、こちらので解説をしています。

社会的責任を果たすことができる

 障害者雇用に取り組んでいる企業は、社会的に信頼を得ることができます。企業にとって信頼とは=価値です。

官公庁の委託などではこうした信頼なども大きく関わってくるような内容になりますので、雇用が進んでいる企業は大きなアピールになるでしょう。

障害者雇用に対しての企業の本音

障害者に対して「雇用していない」「雇用しているがうまくいかない」「雇用してうまくいっている」の3つの視点から企業の本音を見ていきましょう。

また今回の意見は私が7年間就労支援をしている中で、実際に言われたことをそのまま記していきます。

雇用していない企業の本音

雇用していない企業の本音
  • 採用での見極めや職場定着することが難しそう
  • 障害者を雇用する手間とリスクを考えると納付金を払う
  • 雇用しなくてはと思っているが、環境が整備されていない

3つの本音に共通していることは、障害者を雇用することに難しさを感じていることでしょう。

この難しさを感じる要因は、障害や障害者への知識、経験が少ないことであることが多いです。

もちろん、日常生活の中で障害の方と関わる機会はあまりないため、仕方ない部分も大きいです。

障害者を雇用して上手くいっていない企業の本音

上手くいっていない企業の本音
  • 職場に定着するまでに不安定さがある
  • ある程度障害について、理解をしていないと対応ができていない
  • どこまで配慮をしたらいいのかわからない

こうした本音を伺っています。

うまくいっていない理由は障害について「何をサポートしたらいいのかわからない」という合理的配慮の難しさであることが多かったです。

ただし、なかには対象者側の理由であることもあるので、企業責任だけではないことも難しさの一つにもなります。

また企業側の姿勢としては、納付金回避を目的としていることも多く雇用はするが、サポート体制が整っていない企業も少なからずありました。

では最後にうまくいっている企業の本音も見ていきましょう。

障害者を雇用して上手くいった企業の本音

成功企業の本音
  • とても真面目に働いてくれているので、戦力になる
  • 作業を正確にこなしてくれている
  • 最初は不安定さがあったが、配慮をしたことで安定出来ている。

と言った声がありました。

成功している理由としては

本人と企業の相性や本人のスキルなどもありますが、共通しているのは障害への配慮に力を入れていることです。

障害者に歩みよる姿勢を示すことで力を発揮することができることに繋がります。

このように、職場定着上手くいけば雇用のメリットが有効に活用できますし、逆にうまくいかなけば雇用すること自体がデメリットになってしまいます。

障害者雇用を会社のメリットに変える方法

ここまで、障害者雇用のメリットと「雇用していない企業」、「上手くいっていない企業」、「上手くいっている企業」の本音を見てきました。

企業が雇用のメリットを活用できるようにするポイントは、「障害を知ること、理解すること」にあります。

障害を知ることが雇用を進めるための近道

雇用していない、うまくいっていない企業は障害に対して、知識不足による漠然とした不安や不満に対してのストレスが、障害者雇用に向かうための壁になっていました。

しかし上手くいっている企業では、
障害者雇用の担当者が配置されている、定期面談を実施するなど障害に対して具体的なサポートができています。

障害者を理解し、具体的な配慮を行うことが、企業のメリットを有効に活用できるようになる要因になります。

とはいえ企業の担当者が、専門家のように知識を持つ必要はありません。

障害に対して理解を深めながら、雇用を進めるためのステップをまとめていきましょう。

障害者雇用を進めるための6のポイント

最後に、障害者雇用のメリットを有効に活用するための6ポイントをまとめましょう。

雇用を進める6つのポイント
  • 障害について知る
  • 支援機関の存在を知る
  • ハローワークを活用する
  • 職場見学、実習をする
  • コンサルタントを活用する
  • 助成金制度を活用する

障害について知る事

まずこの記事を読んでいる時点で、スタートラインに立つことができています。なのでここからさらに

「障害とは」「障害の種類」などを調べてみましょう。

それだけでも、障害についての最低限の知識は知ることができます。こうした知識があることで対策や予想ができるようになります。

支援機関の存在を知る事

障害のある方は、生活や就職に関してサポート機関が付いている事があります。

具体的には障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所の2つです。

こうした支援機関は当事者の就職活動、職場定着が出来るように支援する事業所ので、サポートをする上では強い味方になります。

ただし、メインは企業ではなく当事者の支援のため注意しましょう

職場見学、体験をする事

障害者雇用では、ミスマッチというものが起こりやすいです。

求人票のみでは、仕事内容や環境をイメージしづらい方も多いです

なので見学をする事で「作業のイメージを付ける」、職場体験をして「実際に体験をする」などして確認する事で職場定着率が格段に上がります。

もちろん会う機会が増えることで、対象者の作業の実力や社会性などが見えるため、企業としても見極めができます。

そのため体験までしてから、応募するかどうかを決めてもらうと良いでしょう。

ハローワークを活用する

障害者枠の求人を出すのに、1番なのはハローワークです

ハローワークでは、障害者求人という枠を作っており求人作成のサポートをしてもらえます。もちろん無料なので、万が一うまくいかなくても紹介なども発生しません。

障害者求人を出したい時には、ハローワークを活用すると良いでしょう。

コンサルタントを活用する

支援機関は、対象者がいて初めてサポートに入ります。そのため、企業をメインとしたサポートはコンサルタントの利用がおすすめです。

求人の切り出しから採用のアドバイス、職場定着まで企業の目線に立って様々なアドバイスをしてもらうことができます。

私自身もコンサルタントをしております。企業、当事者、支援機関3つの立場が分かるサポートができます。

詳しくはこちらから

助成金制度を活用する

主な助成金は制度は3つです。

3つの助成金制度
  • 障害者トライアル雇用助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金
  • 障害者雇用調整金

障害者を雇用することで、受給することが出来る助成金です。

もちろん各助成金によって条件はありますが、雇用することにかかるコスト面では負担が減りますので、雇用に対するハードルは低くなります。

このようなポイントを意識した採用活動をすることで、障害者雇用を進めるための壁が低くなりますので知識として知っておきましょう。

 



まとめ

この記事のまとめ
  • 障害を抱えていても、貴重な人材は必ず存在する
  • 障害を理解出来ていないと、雇用を進めることが難しい
  • 障害を理解し適切な配慮をすることで、企業のメリットになる
  • 6つのポイントを意識した採用活動が重要

今後より制度の枠が広がり障害者の雇用を求められるようになってきます。

少しでも負担が減って、メリットを活用できるような採用を進めていきましょう。

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