【障害者雇用】障害者雇用率が引き上げに!転職活動に影響はあるのか!?

求職者の障がい者雇用

令和6年になり早くも2ヶ月がすぎました。

令和6年は障害者雇用のルールが大きく変わる年になります。

このルール改定は「企業」はもちろん「求職活動中の方」「すでに働いている方」にも影響が出るものになります。

今回は就職活動にどのような影響が出るのかを中心にまとめていきたいと思います。

この記事の概要
  • 令和6年度から大きく4つの改定がある
  • 今回の改定では、求人の種類・数が増える可能性がある
  • 改定に合わせて雇用サポート機関の支援体制も変わるかも
  • 制度改定に強い就職活動の方法

 



■障害者雇用とは

まずは障害者雇用の概要をおさらいです。(読み飛ばしても大丈夫です)

障害者雇用は、障害の有無に左右されず、働く機会を増やすことを目的とされた制度です。

国が定めている「障害者雇用促進法」という法律に定められている制度で、

ある一定の基準を超えている企業は障害のある方々を雇用することが義務付けられています。

この制度があるため、年々障害者雇用に取り組む企業も増えてきて、今年度初めて全国の雇用義務のある企業の半数以上が雇用出来ている状況です。

令和5年 障害者雇用状況の集計(厚生労働省)参照

半分と聞くとまだまだ少ないかもしれませんが、確実に障害者雇用に関心が強まってきている現状で、令和6年度に制度の改定があります。

どんな改定になるのか詳しく見ていきましょう。

令和6年度に改定される4つの項目

来年度改定される項目は大きく4つです。

4つの制度改定
  1. 法定雇用率の引き上げ
  2. 勤務時間の引き下げ
  3. 雇用の除外率の改定
  4. 助成金の新設と拡充

一つずつ詳しく見ていきましょう。

法定雇用率の引き上げ

来年度は法定雇用率の引き上げが行われます
この改定での影響は求人の数です。

まずは法定雇用率の説明からしていきます。

法定雇用率とは

企業は雇用している人数によって障害者手帳を持っている方を雇用する人数も変わります

その割合を「法定雇用率」と言います。

現在は【2.3%】ですが令和6年度からは【2.5%】になります。

さらに対象の企業も43.5人→令和6年から40人以上の企業へ引き下げです。

と言われても分かりにくいのでこちらを参考にしてみてください。

今回の改定での変化

結論としては「制度改定すると求人が増える可能性がある」と言うことです。

実際、今年度は改定を見越して障害者求人が一気に増えた年でした。

私は来年度も継続して増えていくのではと考えていますが、どうなるでしょうか。

勤務時間の引き下げ

働く時間を短くしても雇用として認められるようになります。
この改定の影響は働く時間です。

令和5年度までの働き方

現在障害者雇用として認められる時間は「週20時間以上の勤務」です。

今年度までの働き方例
  • 週5日の1日4時間
  • 週4日の1日5時間
  • 週3日の1日7時間

こうした働き方であれば障害者雇用として認められていました。

令和6年度からの働き方

特定の障害の方は10時間以上でも認められるようになります

来年度からの働き方例
  • 週5日の1日2時間
  • 週4日の1日3時間
  • 週3日の1日4時間
  • 週2日の1日5時間

といった条件付きで短時間勤務が認められるようになります。

短時間が認められる条件

この働き方が雇用として認められる条件としては

  • 重度の知的障害
  • 重度の身体障害
  • 精神障害

上記の3つの障害の方が対象となります。

それ以外の方は認められないので注意しましょう。

業種の除外率引き下げ

企業の除外率が引き下げになります。
「いままで少なかった業種から求人が出るかもしれない」といった内容です。

働く方に直接関係する内容は少ないので興味の無い方は読み飛ばしていただいても問題ありません。

除外率とは、障害がある方が一般的に就職が難しいと判断されている業種について雇用率を少し免除をするという仕組みです。

業種の例
  • 医療業
  • 林業
  • 鉄鋼業
  • 特別支援学校
    など

などの30業種が選ばれております。

業務の危険度、難易度などを総合的な判断で選出されている業種です。

これは「雇用をしなくても良い」のではなく、「雇用する人数を少なくしても良いです」という制度です。

今回の改定では「減らしていた人数を少し増やしてください」というものです。

つまり今後は、これまで少なかった業種からも求人が出てくるかもしれません

助成金の新設と拡充

障害のある方を雇用した企業に対する、新たな助成金とこれまでの助成金の強化が行われます。
「企業がサポートを受けて雇用をしやすくなる」内容になります。

こちらも働く方に直接関係する内容は少ないので興味の無い方は読み飛ばしていただいても問題ありません

来年度から新しい助成金や金額などを強化していくようになります。

具体的な新設・拡充項目
  • 雇用介助者助成金の拡充
  • 職場適応援助者助成金の拡充
  • 障害者雇用の相談援助に関する助成金の新設
    など

この助成金の目的は、環境などの配慮をするためのコストを下げることが出来るので雇用の促進に繋がっています。



就職活動に出てくる影響

解説をしたような制度改定は令和6年度から実施するようになります。

今回の改定内容としても、雇用率や助成金といった新たに雇用を増やす動きが見られることやその変化に対してサポート機関の対応の変化が想定されています。

そのため【求人】【就職支援サービス】の2つの視点でまとめていきます。

現在働いている方への影響は大きくはないと想定しています。

求人の影響

まずは求人への影響です。

具体的には下記のような影響が出ると考えております。

求人への影響
  1. 求人の増加
  2. 短時間求人の掲載
  3. 職種の幅が広がる

障害者求人の増加

企業は雇用人数を増やす必要があるので、求人が増えることが想定されています。

先程も触れましたが、令和5年度からすでに求人数は増えています。

求人数のデータがないため正確な数値ありませんが、私の感覚として1.5倍程度増えている感覚があります。

一旦6月を目途に落ち着く可能性はありますが、全体的な求人数は変わらないのではないかと思います。

短時間求人の掲載

ハローワークなどの職業紹介をしているサイトなどでも10~20時間の求人が掲載されるようになります。

しかし私は2つの理由から、短時間の求人は最初から出てくることは少ないと思います。

短時間が少ない2つの理由
  • 企業が短時間でも可能な求人を切り出すことが難しい
  • 対象の障害が限られている

こうした理由から、企業側が求人を出すよりというより

支援機関から企業に相談をして短時間の働き方を検討してもらう方が多いのではないかと思います。

職種の幅が広がる

今回の改定でこれまで雇用してこなかった業種でも、雇用を増やす動きが出てくる可能性があります。

例えば
  • 看護補助
  • 造船作業員
  • 学校の用務員
    など

仕事の可能性は広がるようになってくるのではないかと考えてます。

就職支援サービスへの影響

就職をサポートする事業所では、下記のような変化が出てきます。

支援機関の対応の変化
  • 障害者就業・生活センターの短時間勤務への対応
  • 就労移行支援センターの移行支援

障害者就業・生活支援センターの短時間勤務の対応

障害者就業・生活支援センターについて簡単に説明すると下記のような事業所です。

障害者就業・生活支援センターとは

障害者就業・生活支援センターは、
雇用保険に加入する週20時間以上で働く方を対象としている就職の総合相談の場所になっています。
障害のある方に対して、就職活動や職場定着などサポートと日常生活に対するアドバイスをする事業所です。
全地域に必ず設置されており、状況によっては就労移行やA型事業所などの福祉サービスの紹介なども行います

こうした事業所のため、20時間未満の働き方に関しては対応できるのか出来ないのかが分かりにくい状況になります。

障害者就業・生活支援センターを「利用」又は「利用を検討している方」は短時間の支援についても確認してみましょう。

就労移行支援センターの移行支援について

障害のある方の就労訓練をしている就労移行支援事業所では、「短時間トライアル雇用制度」という制度を利用しやすくなります。

短時間トライアル雇用制度とは

「トライアル」は「試す」という意味そのままで
1年間の期間中に、短時間で働きながら継続して働けるのかを試すための制度です。

これまでは、20時間以上でないと雇用として認められなかったため、短時間トライアルを使用するメリットが少なかったのですが、短時間が認められるようになったことを機に、今後はある程度増えてくる可能性もあります。

ちなみに

「障害者トライアル雇用」というものもございますが、時間や期間などが異なるため別物として考えておくことが良いでしょう。

 



おすすめの就職活動の方法

令和6年度の改定のお話をしましたが、今後も障害者雇用の制度改定は令和8年度にも予定をされています

こうした変化にも対応できる支援や就職活動の方法を選んでいくことも重要です。

最後におすすめの就職活動の方法をまとめます。

1人で就職活動をしたい方へのおすすめ方法

就職のサポートや相談などなく一人で就職活動したい人におすすめの方法は2つ

おすすめの方法
  1. ハローワークの活用
  2. 転職エージェントを活用する

ハローワークの活用

厚生労働省の管轄下にあるので、民間よりも制度の変化に対応出来ています

メリットとして
人数は民間よりも遥かに多い上に、障害者雇用専門の窓口もあるため、直接対応してもらえる強みがあります。

そのため下記のような方に向いている方法です。

ハローワークの利用が向いている人
  • ハローワークの窓口に行く時間がある方
  • より多くの求人を見たい方
    にはおすすめです。

デメリットとして

応募等に関しては、基本的に窓口に直接相談にいく必要がありますまた基本的には自分で探す必要があるので、窓口への相談にいく回数は自然と多くなります

そのため下記のような方に向いていません。

ハローワークが向いていない人
  • 働きながら転職活動している人
  • ハローワークに行く手段がない人

転職エージェントの活用

民間企業が行っている職業紹介のことです。

ハローワークと比べると求人数は少ないですが、大企業やハイキャリアの求人があることが特徴です。

具体的には下記のサービスです。

転職エージェント

といったものがあります。

転職エージェントのメリットは「自分で探す」+「エージェントが探してくれる」と言うことです。

さらにほとんどがネット、電話での対応になるため窓口に行く手間がありません。

そのため

転職エージェントが向いている人
  • 働きながらの就職活動をしたい方
  • スキルを活かして給料アップしたい方
    にはおすすめです。

ただしデメリットとして、
条件によってはマッチングが出来ず対応してもらえないことや担当者が入れ替わることも少なくないです。

そのため下記のような方には向いていないです。

転職エージェント向いていない人
  • 電話やオンラインでのやり取りが苦手
  • コーディネートを待つだけ

支援が欲しい方へのおすすめ機関

ここからは「一人で就職活動をすることに不安な方」や「アドバイスが欲しい方」におすすめの相談場所のご紹介です。

支援が欲しい人におすすめの機関
  • 就労移行支援事業所の活用
  • 障害者就業・生活センターの活用

就労移行支援事業所の活用

就労移行支援事業所は「一般就職に向けた訓練」、「就職活動サポート」、「職場定着サポート」の3つの役割を兼ね備えた通所型の事業所です。

具体的にはこんな事業です。

メリットとしては
特に大きな事業所や地域で長く続いているような事業所では、
就職までのノウハウがしっかり出来ているところも多いため制度の変更など理解して就職活動のサポートをしてもらえます。
そのため下記のような方に向いている機関です。

就労移行をおすすめする人
  • 就職、定着に向けた自分を知ったうえで就職活動をしたい人
  • 課題に向けた訓練をしたい人
    そのため、に向いています

デメリットとしては
利用するなら訓練も必須になることや最長2年という利用期限があります。さらにこの間の収入が得ることが出来ないこともデメリットになります。

そのため下記のような人に向いていない機関です。

就労移行をおすすめしない人
  • 就職活動だけ、職場定着だけを求めている方
  • 就職ではなく生活リズムから整えたい方
  • 利用中の生活に不安がある方

障害者就業・生活センターの活用

障害者就業・生活支援セミナー(通称:なかぽつ)は就職における総合相談の機関です。

メリットとしては、就労移行とは違い通所ではなく、困った時の相談場所として就職活動、職場定着のサポートや生活面のアドバイスまで全体的な対応をしてもらえます。

そのため下記のような方に向いている機関です。

就業・生活支援センターをおすすめする人
  • 就職活動又は職場定着だけなどのピンポイントなサポートを求めている方
  • 障害者雇用で働くためにどうしたらいいか聞きたい方

デメリットとして
通所するような事業所ではないので、手取り足取り教えてもらえるといったサポートではなく出来ることは自分ですることが前提になります。
また福祉サービスの紹介自体をメインしているわけではないので、福祉サービスに詳しくない事業所もあります。

そのため下記のような人に向いていない機関です。

就業・生活支援センターをおすすめする人
  • 手厚いサポートを希望している方
  • 福祉サービスを紹介してほしい方

 



まとめ

この記事のまとめ
  • 令和6年度雇用率・勤務時間、除外率・助成金の改定がある
  • 求人の種類・数が増え障害者雇用に取り組む企業が増える可能性がある
  • 改定に合わせてナカポツの対応と就労移行の就職の進め方が変わるかも

制度の変化があっても急に大きく何かが変わるものではありません。

制度も企業も様子を見ながら変化をしていきます。

まずは知っておくことだけでも就職活動では有利になりますので、参考にしてみてください。

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