現在の障害者雇用のルールでは、「障害者手帳」を所持していることが重要なポイントの一つとなっています。
しかし、様々な理由から障害者手帳を「取得できない」又は「取得したくない」といった方がいらっしゃいます。
障害者手帳がない方でも就職を諦める必要はありません。この記事では、手帳なしで就職するための具体的な方法、利用できる支援機関などを詳しく解説します。。
手帳がない方の障害者雇用の現状
結論からお伝えすると手帳がない方は、障害者雇用という制度で働くことが出来ません。
では現状のルールの概要を見ていきましょう。
障害者雇用の基本ルール
障害者雇用という制度を活用して働く場合、下記の2つのルールを守っていることが必須です。
1.障害者手帳を所持していること(身体、療育、精神いずれか)
2.週20時間以上働くことが出来ること
(精神、重度身体・知的の方は10時間以上)
上記のルールを守れていることで、
働く側は、「働きやすい環境を交渉しやすくなり(合理的配慮)定着率が上がる」
企業側は、「法定雇用率を満たすことが出来、環境を作りやすくなる」
といった働く側、企業双方にとってメリットがあります。
逆にいうと障害者手帳がないと、企業にとってのメリットが少なることになります。
企業のメリットに関しては、後で解説します。
もっと障害者雇用について知りたい方はこちらから
では次に「障害者手帳がない」というのは、どういった方が多いのか見ていきましょう。
障害者手帳を取得していない方々の状況
障害者手帳を取得していない理由で多いのはつぎのような方々です。
- 軽度な症状のため理由から手帳の発行が出来ない
- ご自身の意思で取得をしないと決めている
- その他
「病気=障害」大きな間違いです。
実際は病気、けが、ストレスなどの要因から、日常生活に支障が出ていると判断をされて初めて障害と認められます。
そのため、実際には医師や役所が手帳を取得する程度ではないと判断した場合は、手帳を所持出来ないことがあります。
また手帳を取得することに抵抗感があることもあり、ご自身で取得しないと決めている方もいらっしゃいます。
障害者手帳がない場合は、合理的配慮はもらえるのでしょうか
障害者手帳がなくても合理的配慮は受けられるのか
手帳がないときの合理的配慮に関しては、立場によって考え方が違います。
手帳が無くても、働きやすい環境を作ってほしい
業務・作業に配慮がいらない、ある程度成果が見込めるのであれば、配慮します
どういうことか、国の視点と企業の視点の双方で見ていきましょう。
国の視点
合理的配慮は厚生労働省の指針では、障害者手帳の有無に関わらず症状があれば、合理的配慮の対象になります。
そのため、国としては手帳の有無で判断しないでほしいという思いがあるようです。
では次に企業視点で考えてみましょう。
企業の視点
企業が障害者雇用に取り組む大きな理由に「法定雇用率」を達成したいという思いがあります。
法定雇用率とは・・・
企業が決められた割合の障害者を雇うように義務付けられたルールのことです。会社の規模によって雇用人数が決められており、企業によってはペナルティが発生します。
この法定雇用率を満たすためには「障害者手帳」を所持していることが必要です。

手帳を所持していないと法定雇用率には関係しないので、
手帳がない配慮を求めている方を受け入れる余裕がない企業もあります。
つまり今の制度では手帳のない方を雇用することは、企業側にメリットが少ないというのが現状となっています。
少しずつ理解をしてくれる企業は増えてはいますが、現状多数とは言えない状況です。
では少し状況が分かってきたところで手帳がない方の就職活動の流れを見ていきましょう。
障害者手帳を持っていない時の就職活動
障害者手帳がない場合の就職活動は大きく3つ
- クローズの就職活動
- オープンの就職活動
- 就労継続支援事業所A型の利用
- 複数の方法を組み合わせる
一つずつ見ていきましょう
クローズの就職活動
病気などがあることを会社には言わずに、就職活動をすることを「クローズ」と言います。
病状などを待った伝えないため、
合理的配慮はなく、労働環境は症状などがない方々と同様の働き方です。

この場合、応募出来る求人は「障害者専用求人」「A型求人」には応募が出来ません。
そのため、一般求人をを対象に応募をしていくことになります。
メリット
- 求人の職種、数が多い
- 給料も障害者求人に比べると高水準の求人が多い
デメリット
- 症状に関してを説明出来ないので、配慮を受けにくい
- 配慮がないため、業務・責任の負担が多く病気によっては体調を崩しやすくなることも
- 就労サポートの機関を活用しにくい
就労後に症状等を明かすとトラブルに発展することもあるため、クローズでの応募なら最後まで伝えない覚悟は必要かもしれません。
オープンでの就職活動
症状や配慮が必要であることを伝える就職活動を「オープン」と言います。
病状を明かすことで、障害者専用求人に応募が出来る場合もありますが、
上記の通り、制度としては認められていないため会社への相談からになります。
その為、障害者手帳をお持ちの方と比べると応募ができる可能性は低いです。

この場合、基本的には説明をするという前提で、すべての応募をしても大丈夫です。
ただし、職業紹介事業者(ハローワークや転職エージェントなど)によっては、
障害者専用求人に応募が出来ないこともあるので、
応募する際は「手帳がなくても応募が可能か」確認をとってみましょう。
メリット
- 障害者専用求人に応募が出来る
- 症状に対しての配慮を求めることが出来る
- 配慮がある為、職場定着率が上がる
- 就労サポートの機関が介入できる
デメリット
- 応募求人は増えるが、企業側のメリットの影響で受け入れ企業が少ない
- そのため、条件を満たす企業を探すと就職活動が長引く可能性
- 企業によっては配慮が物足りない場合も
私の体感としては、地域差はありますが10社中1社程度の話を聞いてくれる感覚です。
就労継続支援事業所A型の利用
オープンの就職活動のプラスαで、A型事業所も検討材料に入ります。
A型事業所は最低賃金を保証されながら就労訓練する事業所です。
A型事業所の詳細はこちらを参照してください。
手帳がなくても、医師の意見書等があれば利用が出来る自治体もあります。
興味があれば、各自治体の役所に確認をしてみてください。
メリット
- 一定の収入は見込める(最低賃金は保証)
- 一般企業への就労に比べると就労までは容易
- 訓練機能があるため、症状に対しての対処法など身につけることが出来る
デメリット
- 勤務時間が4~6時間程度の事業所多いため高収入は見込めない
- 自治体によっては手続きに時間が掛かる
- あくまでも福祉サービスのため、福利厚生や安定などは一般企業に劣る部分もある
A型事業所はあくまでも福祉のサービスです。
就労先として求めるよりかは、訓練や一時的ものとして考えると良いでしょう。
複数の方法を組み合わせる
これらの方法を一つで考えるのではなく、組み合わせながら就職活動をしていくこともポイントです。
A型を利用して最低限の収入を確保したうえで、ゆっくり就職先を探す
サポート機関に協力をもらい、個人情報を伏せてオープンで連絡をしてもらって難しいのであれば、クローズで応募をする
いくつかの方法を組み合わせることによって
就活時間の短縮や各方法のデメリットを補いながら進めることが出来ます。
では最後に就労や進め方のサポートしてくれる機関をご紹介します。
手帳の無い方のサポート機関
これまで説明した就職活動の方法があっても、次のようなハードルは付いてきます。
- 合理的配慮の少なさ
- 求人の選択
- 企業への症状などの説明の仕方(オープンの場合)
- 企業とのやり取り(オープンの場合)
など
こうしたハードルが出た際に、アドバイスをもらえる機関をご紹介します。
障害者就業・生活支援センター
障害や病気のある方向けの無料就職相談の窓口となります。
お住まいの地域に必ず担当の事業所があり、就職活動や職場定着のサポートを全般的に行ってもらえます。
実際A型事業所やクローズになると、出来ることは限られてしまう可能性はありますが、
就職活動を進めるうえでの、アドバイスや流れを一緒に検討してもらうことは可能です。
無料で多くの相談や代わりに動いていただくことが出来るメリットがあります。
興味のある方は下記の厚生労働省が出している、障害者就業・生活支援センターの一覧のリンクをご確認ください。
難病相談支援センター
難病が原因であれば、難病相談支援センターもおすすめです。
指定難病の診断を受けている方を中心に、療養生活や必要な情報提供や助言をしていただくことが出来ます。
また就労に関しても、相談に乗っていただくことが出来ます。
難病の専門的な視点から、就労のアドバイスをしてもらえます。
各都道府県にセンターが設置されているため、ご興味のある方はご連絡してみてください。
ココナラなどの単発アドバイザー
ココナラでは、就職活動等に関して単発で相談に乗ってもらえるアドバイザーもいます。
少しお金が掛かってしまうというデメリットはありますが、
〇継続してサポートを望まないがアドバイスが欲しい
〇経験豊富なプロに頼みたい
〇様々な事情から近くの機関を使って相談をしたくない方
上記のような方には、検討ができる方法だと思います。
私も障がい者雇用に関して、個別にアドバイスをしております。
興味のある方はぜひご検討ください。
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まとめ
今回は障害者手帳をお持ちでない向けの就職活動についてまとめました。
個人的には手帳が取得できる方は、取得していただくことで就労だけでなくメリットは大きいと思います。
また取得出来ないから配慮を諦める必要はありません。
サポート機関を上手く活用すれば、自分に必要な配慮をもらいながら働く方法はありますので
まずは相談をすることから始めてみましょう。
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