【法定雇用率】という言葉は聞いたことがあるでしょうか。
企業が障がいのある方を雇用する人数を決めるときはこの「法定雇用率」を基準に考えます。
これを知らない企業は、毎月5万円以上損をすることになるかもしれません。
そうならないように企業の担当者は「いったいどのように計算をするのか」「どんな条件で適応されるのか」理解しておく必要があります。
また障がいをお持ちの方も知っておくことで、企業がどんな決まり中で雇用をしているのか分かるようになり、就職活動のヒントになるかもしれません。
障がい者雇用
障がい者雇用について概要をまとめていきます。
本題は次の項目からになりますので、本題のみ知りたい方はそちらへ
障がい者雇用とは
企業や自治体などが通常の雇用とは別に障がいのある方にも雇用する機会を作る制度を言います。
障がい雇用をする事のメリットは、戦力としての補充や助成金の活用が出来るようになること、また近年では公共事業を委託公募でも障がい者雇用が条件に組み込まれていることがあります。
近年では、障がいをお持ちの方を雇用している企業が社内の中枢システムの大部分を
発達障がいの方々が担っているなど、即戦力になる方々も出てきており注目されています。
ただし、障がい者雇用の注意点や企業がするべきことなどもあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。↓↓
法定雇用率について
ここからが本題になります。
法定雇用率は「障害者雇用促進法」という法律に基づき定められています。
この法律は障がいのある方が安定して雇用(仕事)が出来る環境を整えていく事を目的に制定されており、条文にはこう書かれています。
つまりすべての企業では障がいのある方を雇用する責任があるとされています。
そのため、企業は障がい者雇用をする必要があるのですが、少人数の企業では障がいのある方の受け入れが難しいため、雇用の義務は従業員の人数によって決められています。
要するに、全従業員に対し、障がい者を一定の割合以上の雇用しなくてはならないということです。
この割合が法定雇用率と呼ばれるものになります。
それでは法定雇用率の条件を見ていきましょう。
法定雇用率の条件
今回は架空の会社を設定して法定雇用率を見ていきましょう。
条件1 障がい者の雇用する義務の有無
障がい者雇用をする義務がある企業の条件は全従業員の数が43.5人以上雇用していることです。
つまり従業員数が43.5人以下の企業は障がい者雇用する義務はありません。
しかしこの人数に関しては、今後引き下げる可能性もあるため、従業員数が40名に近い企業は
障がい者雇用の事を考えていきましょう。
従業員のカウントについて
43.5名のカウントの仕方は下記の通りです。
そのため従業員数は43.5名を超えていても短時間労働の方が多ければ該当しないこともあります。
条件2 障がい者を雇用する割合
障がい者雇用する必要の有無を確認が出来たら、何名雇用するか考えていきます。
法定雇用率(障がい者の割合)は民間と自治体などで変わってきます。
このブログを読まれている方は民間企業がほとんどだと思うので2.3%で計算していきます。
条件3 障がい者雇用の必要人数の計算
雇用人数の計算式は下記の通りです。
それでは株式会社こまる商事を例に計算をすると
(130名【正社員】+30名【パート】×0.5)×2.3%=3.33名雇用する必要があります。
また少数点は切り捨てになるので、3名雇用すれば法定雇用率を満たせることになります。
条件4 いつまでに雇用する必要があるのか
6/1までに雇用が出来ると良いでしょう。
6/1の根拠は【通称ロクイチ報告】があるためです。
事業主は毎年6/1にハローワークに雇用人数の報告をする必要があります。
これをロクイチ報告と呼んでいます。
ハローワークはこのロクイチ報告を見て、雇用率が達成できているかを確認しているのです。
では法定雇用率に満たない企業は一体どうなるのでしょうか。
法定雇用率未達成の場合
法定雇用率に満たない企業は3つのデメリットが出てきます。
以上の処分となります。
納付金の義務
国に納付金を支払う義務が発生します。
徴収額は不足人数1名につき毎月5万円です。
仮に10名不足している企業であれば毎月50万徴収されていることになります。
企業担当者の中には「罰則金」と捉えてる方がいらっしゃいますが、
徴収された納付金は雇用率を達成している企業に対して、助成金などの財源として徴収しているため納付金という呼び方になっています。
最初は少ない額ですが、人数が多くなると痛手です。
改善指導
ハローワークより「障害者雇入れに関する計画書」の提出が求められ、指導が入ることになります。
それでも改善が出来ていない場合は、厚生労働省などから直接指導が入ることもあります。
企業名公表
それでも改善が無い場合は厚生労働省のホームページにて企業名の公表をされます。
社会的信頼を失うこともあり得ます。
これらは段階的に行われるため、すぐに指導や公表されるわけではありませんが
あまりに消極的であったり、改善が見られない場合は公表までされることになります。
ちなみに
令和5年現在では6社の会社が企業名を公表されています。
障害者雇用の実状
この法律に対して令和3年度の集計では、法的雇用率を達成している企業は全体の47%ほどです。
つまり雇用義務のある企業の半分以上はまだ出来ていないのが現状です。
昨年の後半からはウィズコロナという言葉が出てくるようになり、少しずつ求人が増えてきている印象がありました。今年のロクイチ報告では上がっている事を祈るばかりです。
まとめ
今回は法定雇用率の解説を行いました。
納付金を罰則金と捉えている企業が多く、罰則金を払えばいいと考えている企業やロクイチ報告のためだけに雇用する企業など、あまり障がい者雇用に積極的でない企業も多く見てきました。
障がい者雇用を
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