【障害者雇用】就労継続支援事業所A型を利用するメリット・デメリット3選

求職者の障がい者雇用

【就労継続支援事業所A型】は就職に関わる福祉サービスです。

就職をすることに不安があり、なかなか踏み出せないという方もいます。こうしたお悩みの方に向けた一般就労の一歩手前に【就労継続支援事業所A型】というものがあります。

今回はそもそも【就労継続支援事業所A型】はどういったサービスなのか、どんな方が利用するものなのかなどを解説します。

記事の概要
  • A型事業所は一般就労に近い形で就職の訓練ができる事業所
  • 利用にはメリットとデメリットをしっかり理解する必要がある
  • 利用手続きには1ヶ月程度かかる
  • 見学、体験時は職員の対応が合うのかを見る必要がある
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就労継続支援事業所A型の概要

それではまずA型事業所の概要から解説していきます。

就労継続支援事業所A型は就労系の福祉サービスの一つ

就労継続支援事業所A型(以下A型)は

18歳から65歳までの障害や難病のある方に向けた福祉サービスです。雇用契約を結びながら支援者が周りにいる環境で働く訓練が出来ます。

主な労働条件としては下記の通りです。

具体的な条件
  • 勤務日数:月に8日休みのため22~23日
    (労働基準法に合わせて有休休暇も付与される)
  • 勤務時間:4~6時間程度
  • 利用期限:なし
  • 給料:都道府県が定めている最低賃金
  • 社会保険:勤務時間によって異なりますが、基本的に雇用保険の加入
  • 利用料:1割負担~無料
  • その他:送迎、昼食補助などの福利厚生がある事業所もあり

こうした条件は、事業所によって異なることがあるので利用前に確認しておきましょう。

利用期限はないので、そのまま働き続けることも可能です。

少し雑な伝え方をすると「給料をもらいながら、一般就職に向けた訓練をしている」というイメージが一番近いかもしれません。

仕事の内容は事業所によって異なる

企業と同様で業務内容は、事業所によって異なります。一つの事業所で複数の業務内容が出来ることも特徴的です。

以下が業務内容の一例です

  • データ入力業務
  • 部品の組み立て業務
  • 裁縫作業
  • 飲食店スタッフ(ホール・キッチン)
  • アフィリエイト代行
    など

こうした業務は、「企業から委託されている」又は「事業所で販売した売り上げ」から収入を得ています。

在宅の働き方も増えてきている

働き方は事業所・仕事内容によって異なりますが、一例としては下記の通りです。

  • 事業所内での作業
  • 事業所から別施設に移動しての作業
  • 在宅ワーク

これまでは、通所型の利用がほとんどでしたが、在宅の働き方も増えてきました。

とはいえ、在宅でも月に1回程度、通所して面談をする必要があります。詳しくは利用する際に確認しましょう。

一般就労との違いはサポートがあること

一般就労との違いは大きく2つです。

一般就労との違い
  • 支援員が常駐している
  • 福祉サービスであるということ

利用期間が決まってはいませんが、福祉サービスなのであくまでも「訓練制度」です。そのため、支援者が付いて、仕事のサポートや生活リズムの整え方について支援をしてもらえます。

この点が一般就労との大きな差です。

またこうした就労系の福祉サービスは他にも

就労系の福祉サービス
  • 就労移行支援事業所
  • 就労継続支援事業所B型

と言ったものがありますが、就労系の福祉サービスの中では、最も一般就職に近い環境での訓練でありA型を経て就職を目指す方も多いことも特徴です。

それでは利用するメリットとデメリットをまとめていきましょう。

A型を利用するメリットとデメリット

まずはA型を利用した際のメリットを見ていきましょう。

A型を利用するメリット

メリット
  • 一般就労に近い形で訓練が出来る
  • 最低賃金の保証がある
  • 支援員が居るため、就労までの道筋が出来る

一般就労に近い形で訓練が出来る

雇用契約を結び、訓練をすることでより仕事をイメージすることが出来ます。

また作業によっては納期が決められた作業もあるので、スピード・精度など作業力の向上に繋がり就職したときのスキルとして身に付きます。

最低賃金の保証がある

最低賃金が保証されているため、福祉サービスの中ではある程度収入が期待できます。

たとえば令和5年6月時点での日本全体での最低賃金の853円で計算すると

853円×4時間×22日=75,064円の給料を得ることが出来る。

障害年金などを含めて考えると、月に10万円を超える収入になります。そのためある程度生活を安定させながら訓練や就職活動を行うことができるのです。

支援員が居るため、就労までの道筋が出来る

A型の支援員さんの役割としては、下記の内容が主になります。

  • 作業のサポート
  • 仕事に関わるメンタルコントロールや生活のアドバイス
  • 就職活動に関して間接的なサポート
    (就活サポートの事業所紹介、就職活動時の休暇など)

就職活動において直接的な支援は少ないですが、就職活動を間接的にサポートしてもらえます

また作業を通して「職場での過ごし方」「ビジネスマナー」「作業スキル」「生活リズム」など働くために必要な訓練を、実践を通して知ることが出来ます。

A型を利用するデメリット

A型利用のデメリット
  • 仕事としての責任が必要になる
  • ステップアップに時間がかかることもある
  • 人間関係に苦労する場合もある

仕事としての責任が必要になる

仕事内容や事業所によっては、作業所より仕事に対して「スピード」や「精度」を求められるため、仕事が厳しいと感じる場合があります。

厳しさがきっかけで退所する方もいるため、見学や体験した上で利用することをおすすめします。

ステップアップに時間がかかることもある

一般企業と比べるとA型事業所の雰囲気はアットホームのことが多く、支援をしてもらって仕事をしていることで満足してしまうこともあります。

私が支援した方でも1年のつもりで利用を始めたものの、居心地よく働けて月7万円程度もらえるためそのまま3年経過しているという方もいます。

そのため、ステップアップ目指している方は意思を継続することが重要です。

また利用者が減ると事業所の収益が減ってしまうため、就職に出したくないと考えるところもあるため、ステップアップが難しくなることもあります。

一般就労を目指したい方は、「目標を明確にすること」「入所前に前情報を確認すること」忘れないようにしましょう。

人間関係に苦労する場合がある

A型事業所で主に関わるのは「職員」「利用者」です。

利用されている方は何かしらの障害がある方になります。その中には、コミュニケーションを課題にしている方もいるためストレスに感じることも。

また人と人が関わるサービスのため、職員と合わないこともあります。実際福祉サービスの退所理由のほとんどが「職員への不満」です。

この辺りは理解した上で、自分に合う事業所を探しましょう。

A型事業所がおすすめの方

A型事業所の利用をおすすめの方は次のような方です。

A型利用をおすすめの方
  • 給料をもらいながら仕事のリズムに慣れていきたい方
  • 就職に時間がかかって生活に困っている方
  • ゆっくり自分の適性を見極めて仕事を探したい方
    など

上記のような希望の方に向いています。
選択をする前にしっかり周りに相談をしながら検討をしましょう。

また相談する相手がいない、誰に相談してほしいかわからないという方向けに
ココナラで相談を受け付けています。

A型に限らず、今後の就職などについて不安な方は、ぜひ検討してみてください。

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A型事業所の利用までの流れ

ここからは実際に利用をするには、どうしたらいいのか基本的な流れをお伝えします。
利用までの流れは大きく7ステップ。

ステップの3.4.5.6は自治体、事業所、本人の状況などによって異なります。実際に利用する事業所と確認をしながらすすめていきましょう。

ステップ① 事業所を探す

A型事業所の探し方は2つです。

  • ハローワークの求人を見る
  • 福祉サービスの相談機関から紹介してもらう

A型事業所はハローワークの「障害者求人」に掲載されています。

通常の求人と同様に職種や仕事内容が記載されています。職種の欄に【就労支援A型事業所】と書かれていますので目印にすると分かりやすいです。

また地域の相談支援センターや役所などでも、案内をしてもらうことも可能です。
どちらか方法で探してみましょう。

ステップ② 事業所へ連絡して見学、体験を行う

直接事業所へ連絡をして見学、体験を依頼します。

ほとんどの事業所で見学や体験が可能です。必ず見て、体験したうえで利用を決めるようにしましょう。直接の連絡が緊張する方や不安がある方は、家族や知り合いに頼んで連絡や同行を依頼しても構いません。

最後に見学や体験時の検討ポイントをお伝えしますので、合わせて参考にしてみてください。

ステップ③ 面接を行う

一般企業と同じように面接を行います。

大体の場合が採用か不採用を決めるようなものではなく、体験の様子や困った事などを聞く面談のようなイメージです。

もちろん体験で難しいと判断された場合は、不採用になる場合もあります。

体験の前に面接を行う事業所もありますので、流れを事前に確認をしましょう。

ステップ④ お住まい市町村の役所へ申請を出す

お住まいの役所の障害者福祉課で申請を行います。

何故申請が必要かと言いますと
本来サービスというくらいですから、利用に対してお金を支払う必要があります。しかし日本では国・県・市町村にて支払ってもらえるため申請が必要になります。

そのため一部負担の方から無料の方までいらっしゃいます。

申請時の内容としては簡単な聞き取り調査を行い、障害など質問をされます。自治体によって聞かれる内容などは若干異なります。

ステップ⑤ 計画相談を依頼する

A型事業所を利用するにあたって、「利用の方法」や「目標」などまとめた福祉サービスの利用計画書という書類が必要となります。その書類を作るのが計画相談員です。

相談員さんは、福祉サービスのスペシャリストであり、利用に関わる手続きを行う役割の方々です。また計画相談員の役割としては、下記のようなものが挙げられます。

相談員の役割
  • サービス等利用計画書の作成
  • 定期的に利用の状況の確認と計画書の修正
  • トラブル、不満等があった時の事業所との仲介役
  • その他福祉サービスの紹介、手続きのサポート

このようなサービスを無料で行います。
A型を利用するために相談員さんと契約、面談を行い、面談の内容から計画書を作成することになります。

ステップ⑥ 受給者証の発行

相談員が作る「サービスの利用計画書」と「本人が行う申請」の2つの手続きを役所で受け取った後、審査を行います。

問題なければ役所から「サービス受給者証」という冊子が発行され、役所からの利用許可が下りた状態になります。

ステップ⑦ 利用開始

受給者証が手元に来た段階で、事業所と初日の日程の調整をして利用開始となります。


以上が主な流れとなります。
大体一連の流れで1カ月ほどかかる事が多いです。
役所や支援機関と電話や連絡調整する事が多いので、苦手な方はご家族や近くの頼れる方に相談する事をおすすめします。

A型事業所を決める時のポイント

多くあるA型の中から何を基準に選べば分かり難いと思います。いくつかポイントをご紹介しますので見学や体験の際に参考にしてみてください。

仕事内容

興味のある仕事なのか確認してください。

単純な作業で何カ月もやっているとストレスが溜まることもあります。この作業を長くする事を考えながら体験をしてみてください。

ただし、こうしたストレスを感じることを知ることも訓練の一つなので、苦手な作業に挑戦するのもいいと思います。

働く時間、休日

働きたいと思った時、自分に合った働き方が出来ることもポイントです。

利用時間はある程度決まっていますが、「最初は短時間から」「もう少し働きたい」など希望があれば相談してみるとよいでしょう。

支援者の様子

デメリットでもお伝えしましたが、退所理由で最も多いのが職員との関係です。

体験時には職員と利用者との関り方をよく見て自分に合うか考えましょう。

ただし体験だけではわからない事もあること、全員が自分に合うことは少ないです。そのことを踏まえて検討してみましょう。

 



まとめ

A型事業所のまとめ
  • A型事業所は一般就労に近い形で就職の訓練ができる事業所
  • 利用にはメリットとデメリットをしっかり理解する必要がある
  • 利用手続きには1ヶ月程度かかる
  • 見学、体験時は職員の対応が合うのかを見る必要がある

今回は就労継続支援事業所A型についてご紹介しました。
給料をもらいながら、働くという福祉サービスの中では異質のカテゴリに入るものです。

またA型を利用している皆さんが一般就労を目指す必要のあるサービスでもありません。A型で働き続けることも立派な働き方の一つです。

A型を利用することにメリットもデメリット理解した上で、自分に合った利用の仕方を検討していきましょう。。

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